孤虫症 (講談社文庫)/講談社
サイコホラーというか少しエロティクなホラー.
和書を一気読みしたのは久しぶり.
身体を売ることで女としての価値を確認し続けた女の話.
女としての価値を確認する方法は人それぞれ.
頭の良い人は他人に認められるという他者からの評価がなくても満足出来,
またある人は,
男に何十回も何百回も愛しているという言葉を囁かせることでそれを確認し,
またある人は,
誰かに抱かれることでそれを確認し,
またある人は,
女としての対価を金銭で受け取ることで確認し,
またある人は…
女としての価値に対して,insecureであることは
ださい女の代名詞とされている節もあるが,
でも,誰だって大なり小なりそのinsecurityを抱えているのではないのかと思う.
だからこの,そのinsecurityが前面に出た,
東電OL事件の被害者像に女性たちは興味を持ち,騒ぎ,
そして彼女のinsecurityを過剰に卑下することで,
自分は彼女とは違うと自分に言い聞かせたのではあるまいか.
そしてその誰もが大なり小なり持ち,
そして蓋をしようとしている女としての価値に対するinsecurityに
フォーカスを当てた作品…
やはり,私は嫌いじゃない.
…というか,好きだ,たぶん.
青山娼館★★★★☆
顔のない裸体たち★★★★★
とかそこら辺.
なお,彼女の他の作品,
女ともだち,
も孤虫症を読み終えたその足で書店に向かい手に入れ読み始めたが,これまた引き込まれている.
同じく,女としての価値へのinsecurityをテーマにした作品.
↧
女としての価値の確認
↧